ひょんなことから小説を読むようになった。初心者です。
私の中では「小説=ファンタジー」という漠然としたイメージがあって、フィクション小説はほとんど読んだことがない。かといってファンタジーを読むわけでもなく。「自分は文章を読める体質ではない、文字からは何もイメージできない人間なんだ」と思って生きてきた気がする。小学生の時は国語が好きだったのにヘンだな…とも思ったけど。
ハリー・ポッターはたしか最初の10行で挫折した。ソードアート・オンラインのアニメにハマって小説を買ったが同じ。物書きの友人が書いた小説もあまり読めなかった。あれこれ挑戦したが、今まで読み切れた小説は無かった気がする。手元にある物語は宮沢賢治だけ。
それがこの1ヶ月で4冊読んでいて、自分でも驚いている。小説ってこんなに面白かったんだなあ。文庫本の上下2冊はコミック10~20冊くらいにあたるのかなとか、大河ドラマ半年分かなとか、読み終わると思う。短編小説は2時間映画なんだろか。
映像を与えられない分、逆にその世界に入り込める気がする。本を開いた瞬間、周りの世界と遮断される。本好きの人たちはこんな別世界に住んでいたのか、羨ましい。カフェで本を読んでいる人を見ると「あの人は一緒の空間に居るようで別の空間にいる…」とか気持ち悪いこと思ったり。

紙の本、とくに文庫本のエモさに驚いた。こんなに小さな紙の束に、5mmくらいの文字を並べて現された世界がぎゅうぎゅうに詰め込まれて、灯りさえあれば電池切れも気にすることなく読み続けられる。カバンの隅に全く違う世界を持ち歩いている。エモすぎて驚く。
物語…とくに小説は、時間に余裕がある人達のための贅沢なたしなみ的なものなのか?と思うようになった。でもそれは漫画でも同じか。
10時にファミレスに入り本を開いて気づくと15時、「私って文章を読める人間だったのか」と思ったが、そういえば本は年に300冊弱読んだりしていたので、いちおう読めることは読めるんだなと。99%ビジネス書、1%が司馬遼太郎だったけど。(『坂の上の雲』にはハマりすぎ何度行ったか分からないくらい三笠公園へ通った。『竜馬がゆく』では、たぶん多くの人がしたのと同じように京都へ一人旅)
でもこの数年は読む時間も惜しくてSiriに速読してもらっていたので、「文字を読みこむ」という行為自体が自分には関係なくなっていた。さすがにSiriに小説を読んでもらいたいとは思わなかったけど、これで良かったのかもな~と思ったりする最近。
ブックオフでやや古びた文庫本をレジに持っていくと、後ろでワイワイしていた高校生らしきグループの男の子が不思議そうに覗いてきた。「この人、電子書籍知らないんだな…」とか「スマホ持ってないのかな…」とか思われてるのかな、そう想像したら楽しかった。
今は何を読めば良いかまったく分からないので、ネットでおすすめされてたもの、裏表紙で絶賛されてるもの、私でも聞いたことがあるタイトル、聞いたことのある作者名…などてきとうな基準。
ここ数ヶ月は漫画づくりにどっぷり浸かることができていて、あと数ヶ月もこの感じで何とかいけそうなので少しだけ心に余裕ができた。おかげで小説を読む機会ができて、ほんと良かった。たくさんの世界の扉を手に入れることができたような。いや原稿描けよという感じだけど、週に1日はオフ。